NPO法人 日本自費出版ネットワーク


第5回日本自費出版フェスティバル
(第4回日本自費出版フェスティバルはこちら)

  • 日時 2006年(平成18年)7月15日(土) 午前11時から
  • 場所 東京・千代田区のアルカディア市ヶ谷 
  •  年に一度、著者と出版者が集う自費出版の祭典──日本自費出版ネットワーク主催の「日本自費出版フェスティバル」が七月一五日(土)に東京・千代田区のアルカディア市ヶ谷で開催されました。今回は東京地区での開催になり、恒例の日本自費出版文化賞の表彰式や著者交流会・交換会、記念講演会、夜には記念パーティも開かれました。
    この自費出版フェスティバルも回を重ねて第五回目になりました。今年は自費出版ネットワーク総会を別の日に設定したため、午前一一時からの開場というゆったりしたスケジュールでした。それでもいつものように定刻前から自著を手にした著者が会場内に用意されたテーブルに本やパンフレットを並べて準備を開始。開始時間を過ぎると、次々に訪れる参加者が、場内に置かれた自費出版文化賞の入賞作品、入選作品などを手にとり始め、出展している著者との会話も始まりました。

     自著への思いを発表──著者交流会

     午後一二時半過ぎ、「ただいまから、自費出版著書交換交流会を続けながらではありますが、今日ご来場の著者の方々に順にお話をいただく機会をつくります」という司会の言葉で、このフェスティバルお馴染みの「著者交流会」がスタートしました。あらかじめ意見発表を申し出ていた著者や飛び入りの発表希望者が次々に登場し、自分の著書やその出版の経緯、テーマ、内容などについて熱のこもったスピーチを披露し、制限時間を過ぎる人もいるほどでした。発表は休憩をはさんで約一時間半ほど行われました。今回の総合司会は筑井理事、著者交流会の司会は管野理事、新出理事により進められました。


     自分史と三浦綾子の意外な関係 記念講演会>

     午後三時からは同じ会場で、記念講演会が開催されました。今年の講演者の藤田敬治氏は、雑誌『主婦の友』の編集長として永年活躍され、その後、NHK文化センターの自分史講座の講師として、自分史の現場で実践的な活動をされた方です。自費出版文化賞の二次選考会にもおいでいただきました。個人の表現活動に大変に造詣の深い方です。
     今回は「自分史と三浦綾子さんのこと」というテーマでお話しいただきました。講演の中で藤田氏は、自分史に関心をもったきっかけのひとつとして、『氷点』で名高い作家の三浦綾子さんとの出会いから話しを始めました。作家・三浦綾子誕生の契機になったのは当時、藤田氏が担当していた雑誌『主婦の友』での読者応募原稿だったそうですが、(後に大作家になる)当時無名のこの主婦の投稿原稿を読んだ藤田氏は感動し、異例の“二重丸”をつけました。そして、一九六二(昭和三七)年、『主婦の友』新年号にこの入選作『太陽は再び没せず』が掲載されます。三浦綾子さんはこの時、四〇歳でした。そして、二年後の一九六四(昭和三九)年、朝日新聞社の一千万円懸賞小説に『氷点』が入選、三浦綾子は一躍人気作家になります。藤田氏は、三浦綾子夫妻との長い交流を通じて、人間のあり方を教えられたと述べ、さらに、「今回時間がなくて十分に申し上げることができませんでした」と断りながら、自分の生き方を記録する自分史の重要さ、すばらしさを強調しました。

     自費出版アドバイザー認定式

     講演に引き続いて行われたのがフェスティバルのメイン行事である表彰・認定式です。最初に行われたのは「自費出版アドバイザー認定式」。自費出版ネットワークでは良質な自費出版物の製作と普及をはかるため、毎年開催する各種研修会・勉強会・見学会などを通して新しい知識と技術の習得や情報交換を行っていますが、こうした活動のひとつとして「自費出版アドバイザー制度」を創設し、高度で良心的な本作りができる人材の育成を進めています。川井担当理事からこうした説明を受け、今年認定を受けた九名の方々が紹介されました。(6ページに氏名など掲載)
     中山千夏自費出版ネットワーク代表からひとりひとりに認定証が授与され「おめでとうございます。これからも頑張ってください」とのお祝いの言葉が贈られました。
     
     いつもながらの感動 文化賞表彰式
     
     続いて、第九回日本自費出版文化賞の表彰式に移ります。司会は宮下理事がつとめました。日本自費出版文化賞は、社団法人日本グラフィックサービス工業会主催・日本自費出版ネットワーク主管で開催されています。冒頭、自費出版ネットワークで文化賞を担当している岩根理事より今回の文化賞の概要、応募状況などの説明があり「次回は第10回になるので、より一層の充実を目指したい」と抱負も披露されました。
     ついで、主催者を代表してあいさつした日本グラフィックサービス工業会の小山浩副会長は「私も自分史を書き、この賞に応募したことがある。今回入賞作品を手にとってみてあらためて参考になった。ものを書くということは大変なことで、書かれたものには経験と年輪が入っていて本当に感動した」と、表彰者を称え、「私もまた応募したい。その時は先生方、よろしく」という型破りのあいさつで会場を沸かせました。
     まず、今回の文化賞の「入選作品」六三点を代表して『豊かなる岡』の中島勲さんに小山副会長より表彰状と記念品が贈られました。この日は他にも入選者のかたが多数参加していましたが、全員が壇上に並び、盛大な拍手をあびました。
     続いて、入賞作品の表彰に移りました。最初は、部門賞とは別に、特に優れた作品ということで設けられている特別賞の表彰。今回は三点の作品が受賞しました。『私家版 馬田氏風説書』の馬田智夫さんが小山副会長より表彰され、表彰状と記念品が贈られました。同じく、『おうめよう』の西芳寺静江さん、『私の逢った富士山』の大成憲二さんも小山副会長より表彰され、表彰状と記念品を贈られました。
     各部門賞の表彰に移り、地域文化部門賞の『地域文化『ブナ林の里歳時記─石黒の昔の暮らし』の石黒の昔の暮らし編集会。代表して大橋寿一郎さんが小山副会長より表彰され、表彰状と賞金が贈られました。次に、個人誌部門賞は『望郷の譜』の桁山伸子さん。文芸A部門賞は『女大関 若緑』の遠藤泰夫さん。文芸B部門賞は『二人歌集 冬の炎』の浜村半蔵・浜村キヨさん。研究・評論部門賞は『五千日の軍隊─満州国軍の軍官たち─』の牧南恭子さん。グラフィック部門賞は『画集 切り絵・創作アプリケ』の山田利一さんと山田眞智子さん。それぞれ、小山副会長より表彰され、表彰状と賞金が贈られました。
     最後は第九回日本自費出版文化賞の大賞の表彰。今回は、地域文化部門の『人形のかしら集─國指定・重要無形文化財 文弥人形芝居・説経人形芝居・のろま人形芝居─』の名畑政治さんです。この表彰は、審査委員を代表して、日本自費出版ネットワーク中山千夏代表が行いました。
     全員の表彰が終わったところで、中山代表が入選・入賞の方々に「今年も作者の気持ちが、読んでいる者にも伝わってくるすばらしい作品ばかり。本当におめでとうございます」とお祝いの言葉を述べ、今回の受賞者を代表して、大賞の名畑さんが「消えつつある佐渡の人形座の文化の中で、ちょうどよいタイミングで貴重な『かしら』の写真を撮り終えることができ、私なりの記録を作りえたことに満足しています。本当にありがとうございました」とあいさつを行いました。授賞式終了後は受賞者全員によるにぎやかな写真撮影 (写真上)で表彰式典を終了しました。

      記念パーティでは楽器演奏、相撲甚句も!

     午後五時半からは会場を移しての記念パーティが盛大に開催されました。司会・進行は佐藤理事がつとめました。中山自費出版ネットワーク代表理事のあいさつに続き、この自費出版文化賞を開催当初より後援いただいている朝日新聞社の河村泰志さんがあいさつ。協賛会社を代表して、富士フイルムグラフィックシステムズ・エリアマーケテイング部の佐藤正人さんがあいさつと乾杯の発声を行いました。
     恒例により、今回の入賞の方々が、次々に登場、ユニークなあいさつを行いました。今年は、入選のの水越さんが、ディジュリドゥのための序奏とアレグロ(楽器)の演奏を披露。また、『女大関 若緑』に関連して、受賞者の遠藤さんが今回の受賞を機に「日本自費出版文化賞」の歌詞を作成して白扇に書き留めた「相撲甚句」を歌い上げ、開場の拍手をあびました。次回、第六回自費出版フェスティバルは二〇〇七年七月、京都で開催される予定です。(掲載の写真は黒坂理事の協力によります)